円を組んでいたガイド役たちは、輪を解くと守護している人たちの元へ戻って行って、この強烈な体験から立ち直れるようにとエネルギーを流してあげていた。それから、皆すぐにそこからいなくなってしまった。
「目が覚める前に、少し話をしよう。君が覚えていやすいように、このままでいい」
「あの人たちはどういう人たちなのですか?」と僕は質問した。
「君と同じような人で、この世に転生している魂たちだよ。そしてその付き人たちは、彼らを助けている霊界の兄弟たちだ」イザヤが答えた。
「皆、とても衝撃を受けていました」
「そう、君もだ。この世の者にとってはインパクトが強過ぎるので、多くの者がこの経験を覚えていられないかもしれない。だが、潜在意識ではちゃんと覚えていてくれて、考慮に入れてくれるのだ」
「僕たちが見たのは何なのですか?」と、訊いてみた。
「君たちが見たのは、君らの世界の二つの異なる未来の可能性だ。最初のものは、人類がエゴに翻弄された場合の未来の可能性だ。そして二つ目のものは、愛を選んだ場合に待ち受ける未来だ」
「それなら、まだこのどちらも実際に起こってはいないし、起こる必要もないのですね。最初の未来の可能性になってほしくないので、訊くのですが」
「その通り。まだ、このようなことは何も起きていない」
「僕たちが見た二つの未来の他に、もっと別な可能性もあるのでしょうか?」
「そうだ。君たちが見たものは、ポシティブなものとネガティブなものの両極であり、その中間の状況も存在し得る。だがどの状況も最終的には、このどちらかの可能性に辿り着く。もちろん、一夜にして実現することではないのだが、長い目で――一つの転生以上のスパンにわたって――未来図を把握しておくことが好ましい」
「では、どういう人たちがこのような未来の可能性を見ているのでしょうか?」
「霊的に成長したいと願っている人たちだ。今日集められた君たちと同じように、転生している多くの者が夜寝ている間に守護霊に連れて行かれて、未来についてのこのような映像を見せられているのだ」
「どういう目的でですか?」
「自分たちの行為が全世界に及ぼす結果に気づくことができるように、君たちの内面を整えるためだ。そうして君たちが原因を知ることができれば、エゴの側か、それとも愛の側か、どちらにつきたいのかを決めることができるだろう」
「最初の可能性を体験したい人はいないと思いますよ」
「もちろんだ、誰も苦しみたくはない。利己的に振舞う者たちはいつだって、絶対に自分たちの行いの結果で苦しむことにはならないと思っている。我々が君たちに理解してほしいと思っていることは、すべてが繫がっているということで、君たちが他の人にすることは、遅かれ早かれ、いずれ君たち皆に跳ね返ってくる、ということなのだ」
「でも、なぜこの未来図なのでしょうか? とても憂慮すべきものです」
「それは、君たちの惑星の一部の極度に利己的で破壊的な力のある者たちが、人類全体の生存を脅かすようになっているからだ。君たちは彼らの破壊に手を貸すのかね? それともその反対に、それを阻止するために尽くすのかね? それはすべて、君たち次第なのだよ。君たちの自由意志によるのだ。今生か、あるいは今後の転生で、君たちはどちらの側につくのかを選ぶことになる。地球の運命は、君たちが握っているのだ」
「僕たちが地球の命運を握っているだなんて、あんまりです。責任が重過ぎます! 誰だって、勘弁願いたいです」
「地球の将来というものは、一人の人間にかかっているのではなく、何百万という人によるのだ。各人が少しずつ、愛あるいはエゴに基づく行動で参加することで、世界は多少良くなったり悪くなったりするのだ。もっとも、善または悪を成す能力と意志の力に応じて、他の人よりも大きな(あるいは小さな)害を及ぼしたり、多くの(あるいは少ない)愛を与える人はいる。
これは、綱引きでの力くらべに似ており、二つのチームがそれぞれの綱のはしを持ち、真ん中に結びつけたハンカチを自分たちの方に引き込もうとしているようなものだ。君たちが選ばなくてはならないのは、どちらのはしを引きたいのかを決めるということだ。エゴの側か、愛の側か。この場合では綱引きのハンカチが、君たちの世界の未来に匹敵する。愛のチームに加わる選手が増えれば増えるほど、地球の未来が愛に変わる可能性が増すのだ」
「で、勝負は今のところ、どうなっていますか?」
「上手くいっていると答えたら、君は安心してしまうだろうし、不利な形勢だと言えば、がっかりしてしまうだろう。君はどんな調子だと思うのかね?」
「やっぱり! 教えてもらえないだろうと思っていました。僕は、今のところはまだエゴが優勢だと思うのですが、人びとは現状では物事が上手くいっていないことに気づき始めていて、チームを乗り換え始めています。つまり、以前はエゴの側を引っ張っていた人たちが、今は変わって愛の側を引くようになっていると思います」
「そう、それに片方のはしを少し引っ張ってみたかと思うと、次は別のはしを引いてみたりと、自分の都合に合わせてやっている人もいるね、はっはっは」
「これは、冗談にして笑えるようなことではないと思いますよ」
「冗談にしているのではなく、ただ君の緊張を解いてあげようと思ったのだ。今日体験したことで、身がすくむほどの衝撃を君が受けたように感じ取れるからね。だが、心配することはない。さあ、そろそろ、別れの挨拶をせねばならない」
「もう行ってしまわれるのですか?」
「もう家に戻らねばならない。君とここにいるのもいいが、あちらはずっと居心地がいい。でも、またすぐに会えるから、心配には及ばない。弟の君に愛を送ろう! 家族の皆にも、よろしく伝えてくれたまえ。もうわかっていると思うが、全人類という我らが愛する家族のことだ」
完
著者のあとがき
見返りを求めないという無条件の愛の趣旨にふさわしく、この本がすべての人に無私の志で届いてくれることを切に願う。
そのため、内容を変更せずに営利を目的としないのであれば、本書を自由に取り扱ってくれてよい。すべてのメディアでの全体あるいは一部の複製をこの場で許可し、その活動を後押しするものとする。
皆の協力によって、輪が広がっていくことが僕の願いだ。霊性や愛のテーマに関しての質問があれば、それが個人的なものでも一般的なものでも気兼ねなく訊いてもらえれば嬉しいし、可能な限り返事をしたい。
一般の関心事で役に立ちそうな貴重なものは、共有していくつもりだ。本書『愛の法則』は『魂の法則』の第2編に当たるが、前作の読者から寄せられた質問も取り入れてある。
また、できるだけ多くの人びとにメッセージが行き渡るように、本書を他の言語に訳してくれる、私心なき人たちの協力もお願いしたい。
話を直接聞きたい人の数がある程度まとまって、君の町や村に僕たちに行ってほしい場合は、遠慮なくそう教えてほしい。君の町や村が、他の国や別の大陸にあっても構わない。僕たちのできる範囲で、要望に答えたい。
講演会での依頼者側の費用負担は心配ない。完全に無私無益の活動なので、旅費や宿泊費も僕たちが持つ。誰でも興味のある人が、自由に無料で参加できることが条件だ。
君に、僕の愛のすべてをこめて。いずれどこかで会えるときまで。